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歴史的な円安は「危機」か「武器」か


Market Chart

STRATEGY INSIGHT

歴史的な円安は「危機」ではなく、
日本の町工場に与えられた
「最強の武器」である。

原材料高騰に嘆くか、外貨獲得の好機と捉えるか。
経営者の「視点の転換」が、向こう10年の生存率を決める。

「円安で材料費が上がって、利益が出ない」

多くの製造業経営者様から、そんな悲鳴にも似た声を耳にします。確かに、エネルギー価格の高騰や輸入資材の値上がりは、国内市場だけでビジネスをしている企業にとっては深刻な打撃です。「失われた30年」と言われる日本経済の停滞感が、さらに重くのしかかっているように感じるかもしれません。

しかし、少し冷静になって、視点を180度変えてみてください。太平洋の向こう側から日本を見てみましょう。海外のバイヤーや投資家の目には、今の日本はどう映っているでしょうか?

彼らの目には、日本は「衰退国」ではなく、「宝の山」に映っています。

「世界最高品質の日本製品が、
過去最大級のバーゲンセール中だ」

この歴史的な為替相場は、輸出企業にとっては数十年に一度の「ボーナスタイム」です。かつて高度経済成長期を支えたのも、円安を背景とした輸出産業でした。今、再びその風が吹いているのです。

今回は、なぜ今、日本の町工場がこれまでの下請け構造を脱し、海外D2C(直販)に挑戦すべきなのか。その経済的・戦略的な根拠を、数字とロジックで徹底的に深掘りします。

目次

01.
「1ドル150円」の衝撃的な利益構造

「円安メリット」という言葉はニュースで耳にしますが、実際の経営数値としてどれほどのインパクトがあるのか、改めてシミュレーションしてみましょう。多くの経営者が、この数字のマジックを見落としています。

例えば、御社が1個1万円(製造原価5,000円)の製品を作っているとします。これを海外で販売する場合の為替差益を見てみます。

海外販売価格 100ドル(約1万円相当)の商品を売った場合

Case A: 1ドル = 100円の時代
売上換算:10,000円
原価 5,000円
利益 5,000円

Case B: 1ドル = 150円の時代 (NOW)
売上換算:15,000円
原価 5,000円
利益 10,000円

利益額が2倍に激増!

※わかりやすくするため、送料・手数料等は考慮せず為替のみで計算

「売上1.5倍」ではなく「利益2倍」の衝撃

ここでの重要なポイントは、売上が1.5倍になったことではありません。利益額が5,000円から10,000円へと「倍増」しているという事実です。

国内取引で、利益を2倍にするのがどれほど大変か、経営者の皆様なら痛いほどご存知でしょう。原価を削り、工程を見直し、血の滲むような努力をして数%の利益改善をするのがやっとの世界です。

しかし、販売先を「日本」から「世界」に変えるだけで、努力なしに利益構造が劇的に改善するのです。これは「魔法」ではなく、純然たる「経済の歪み」を利用したアービトラージ(裁定取引)の機会です。

「妥協なきものづくり」が肯定される

利益が増えるということは、単に会社が儲かるというだけではありません。「これまでコストが合わなくて実現できなかった高品質なものづくり」が可能になるということです。

  • より高価で耐久性のある素材を使える
  • 職人の手間賃を正当に価格に転嫁できる
  • パッケージや梱包にこだわり、ブランド価値を高められる

日本の職人が本来やりたかった「良いものを、手間暇かけて作る」という姿勢が、為替の力によって経済合理性を持ち、正当化されるのです。

02.
「インバウンド」の次は「越境EC」が来る

Shopping

街を歩けば、多くの外国人観光客が日本製品を爆買いしている姿を目にします。ドラッグストアの化粧品から、百貨店の伝統工芸品まで。彼らはなぜ日本に来るのでしょうか?

「食」と「体験」、そして「高品質な日本製品」を求めているからです。

しかし、旅行中に持ち帰れる荷物には限界があります。「もっと買いたかった」「帰国してからもまた欲しい」。そう思った時、彼らがアクセスするのが「越境EC(Cross Border E-Commerce)」です。

2030年、1,000兆円市場への拡大

経済産業省や世界の調査機関のデータによると、世界の越境EC市場規模は2030年には現在の数倍〜10倍近く(約1,000兆円規模)に拡大すると予測されています。国内のB2B市場や小売市場が人口減少で縮小傾向にある中、この「約束された成長市場」に身を置かない手はありません。

北米市場の「本物志向」

特に注目すべきは北米市場です。コロナ禍以降、リモートワークの定着により、「自宅のオフィス環境」や「インテリア」にお金をかける文化が完全に定着しました。

彼らは今、Amazonで買えるような「安価な大量生産品」には飽き飽きしています。自分の個性を表現できる、ストーリーのある「本物」を求めているのです。そこで、日本の町工場が作る、重厚感のある金属製品、繊細な加工技術、美しい表面処理が、「喉から手が出るほど欲しいアートピース」として再評価されています。

【今、日本製品が勝てる3つの理由】

1. 割安感

円安により、かつて高嶺の花だった日本製品が「手の届く贅沢」になりました。

2. 信頼回復

中国製への揺り戻しから、「Made in Japan」の品質への信頼が再燃しています。

3. 拡散力

InstagramやTikTokで「製造工程の動画」がバズりやすく、ニッチな職人技が世界に届きます。

03.
商社任せの「待ち」はリスクでしかない

「うちは海外への販売は商社に任せているから大丈夫」
そうお考えの経営者様も多いかもしれません。しかし、厳しいことを申し上げますが、商社経由の間接輸出では、この円安の恩恵をほとんど受け取れていないはずです。

なぜなら、間接輸出には以下の3つの致命的な「機会損失」があるからです。

利益の中抜き

円安で増えた利益の多くは、中間業者や商社のマージンとして吸収されてしまいます。製造元には「いつもの価格」しか入りません。

顧客が見えない

誰が、どんな理由で、いくらで買っているのか。マーケティングに不可欠な「顧客データ」が一切手に入りません。

ブランド不在

自社の名前ではなく、商社の取扱商品(品番)の一つとして埋もれます。これではいつまで経っても「下請け」のままです。

D2C(直販)こそが唯一の生存戦略

円安の恩恵を100%自社のものにし、永続的な利益体質を作るためには、「自らリスクを取り、自ら販路を持つ(D2C)」しかありません。

「そうは言っても、海外支社を作る金も英語力もない」
10年前ならその通りでした。しかし、今は違います。

Shopifyを使えば1日で世界中に向けて店を開けます。DeepLやChatGPTを使えば、英語でのコミュニケーションも怖くありません。Kickstarterを使えば、在庫リスクなしでテスト販売ができます。

「良いものを作る技術」は、すでに御社にあります。
あとは「売る場所」を国内から海外へ、B2BからB2Cへ、ほんの少しずらすだけなのです。

まずは「在庫リスクゼロ」で挑む

いきなり工場を拡張したり、大量生産する必要はありません。
まずはKickstarterを活用し、「売れてから作る(受注生産)」モデルで
世界市場の反応を見てみませんか?

この円安トレンドが続いている間に「外貨を稼ぐ仕組み」を作れるかどうかが、
向こう10年の経営を左右すると言っても過言ではありません。
FACTRISEと共に、世界への第一歩を踏み出しましょう。


海外展開の可能性を診断する

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